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新近江名所図会

新近江名所圖會 第455回 秀吉が造った城下町の祭 「長浜曳山祭」と「長浜市曳山博物館」 

長浜市

 琵琶湖東岸の北部に位置する「長浜」は、天正年間(1573~1593)の始めに羽柴秀吉が「今浜」という地名を改名してつけたもので、長浜城とその城下町を基盤として発展してきました。江戸時代になって彦根藩の治める地域となってからも、琵琶湖舟運の重要な港として経済活動に大きく貢献する地域として存在していました。城は江戸時代になって廃城となりその姿は無くなってしまいましたが、江戸時代を通じて発展してきた城下町は多くの文化財が残る伝統的な町並みとして現在に伝わっています。

 この城下町に住む人々によって始められ、受け継がれてきた祭が「長浜曳山祭」です。国指定重要無形民俗文化財(1979年)、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」(2016年)であるこの祭は、毎年4月9日から17日に行われる長浜八幡宮の祭礼で、豪華絢爛な曳山とその舞台で行われる子ども歌舞伎が見どころとして知られています。曳山は舞台を備えた12基と太刀を飾る1基の合計13基があります。仏壇製作にかかわる人々によって作られた美しい造形や装飾などが見られ、側面や背面は装飾性の高い織物でできた幕によって飾られています。子ども歌舞伎は5~12歳くらいまでの男児が太夫の語りと三味線の音色に合わせて歌舞伎を演じるもので、子どもとは思えない演技が舞台の上で披露されます。 

おすすめPoint

 「長浜市曳山博物館」は祭に使用される本物の曳山をいつでも見ることができる施設です(写真1)。

写真1 曳山博物館入口

 毎年の祭では舞台を備えた曳山のうち4基が出場します。博物館には次の年に出番を迎える4基を収蔵し、2基ずつ交代で展示されています。また、長浜の歴史や美術、曳山を飾る仏壇製作技術などに関する展示もされており、この地域の文化を知ることができる施設となっています。このような展示以外にも、曳山を解体して修理する場所(修理ドック)が設けられ、曳山の維持や保存が行われています。2階には修理されている曳山をのぞくことができる窓があり、屋根の上からの姿を眺めることができます。

写真2 本物の曳山が展示される様子(靑海山)

 なお、今年度(10月10日まで)展示されていた曳山・靑海山(北町組)は、令和7年度から幕類の復元新調事業に取り組まれています(写真2・3)。波や飛燕などの刺繍で飾られた紺色の幕は経年劣化による損傷が見られることから、使用の継続により現品を失う可能性があります。そのため、復元新調したものを使用することで現品を後世へと保存し、これまでの姿を守り伝えることを目的として行われているものです。この事業を行う財源の一部に、当協会が地域の文化財を守るお手伝いとして行っている資金の貸付制度(文化財保護資金)をご活用いただいています。

写真3 靑海山の胴幕

周辺のおすすめ情報

 曳山博物館から東側へ約500mの位置に所在する長浜八幡宮は延久元年(1069年)の創建とされ、羽柴秀吉が長浜城主となった際には社殿の造営再建が行われています。境内の一角には、雨乞いの行事が行われる放生池があります。

 この神社の一の鳥居の近くには曳山(髙砂山)を収蔵する山蔵があります(写真4)。曳山を解体せずに保管する山蔵は曳山とともに県の有形民俗文化財に指定されており、町中の各所で見ることができます。

写真4 山蔵(髙砂山)

主な参考文献

 長浜市役所 2004 『長浜市史』 

 曳山博物館HP  https://nagahama-hikiyama.or.jp/

アクセス

「長浜市曳山博物館」

JR長浜駅から徒歩約7分。

開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分)

休館日:月曜日(祝日・休日の場合は翌平日休館) 12月29日から1月3日

入館料:大人600円 小中学生300円(個人)

※なお、最新の情報、入館料の詳細(団体その他の割引など)は「長浜市曳山博物館」のホームページでご確認ください。

(調査課 中村智孝)

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